手指消毒に必要な時間とエタノール量は?

2020年6月27日

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最近、正しい手洗いの方法について文章や動画でよく見かける。

そこでふと思ったことがある。

TOMO@北の薬屋®
TOMO@北の薬屋®
手を石鹸で洗う時間は15秒~20秒かけて行うという風に数字で表されることが多いのに、すすぎの時間については特に目安となるものはないな?
TOMO@北の薬屋®
TOMO@北の薬屋®
手洗いの事ばかりだけど、速乾式の手指消毒の正しい使用方法についてはあまり見かけないな?

この2つです。

まずは、CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病対策予防センター)のホームページをみてみました。

CDCホームページ

手洗いとすすぎ時間

When and How to Wash Your Hands(いつ、どのように手を洗うか)という項目がありました。

5つのステップに従って手を洗う

①清潔な流水(温水または冷水)で手を濡らし、蛇口をオフにして、石鹸をつけます。
②手でこすって石鹸を泡立てます。手の甲、指の間、爪の中までしっかり泡立てます。
③少なくとも20秒間手をスクラブします。
タイマーが必要なら「ハッピーバースデー」の歌を最初から最後まで2回歌います。
④きれいな流水でよく手をすすぎます。
⑤清潔なタオルや空気乾燥を使用して、手を乾燥させます。

【付属の情報として】
a)水の温度は微生物除去に影響しない(ただし、温水は油脂をとるため皮膚刺激を与える可能性はある)
b)石鹸の界面活性剤は皮膚から汚れや油脂、微生物を持ち上げることにより除去する仕組みのため、市販の石鹸では、通常の石鹸と抗菌作用のある石鹸でその有効性に差はないと言われています(医療用は別)
c)手洗いの時間は、15秒~30秒の中で有効性が示されており、中間の20秒を推奨している。

ハッピーバースデイの曲というところは少し笑えますが、実際に歌って洗ってみると確かにそれくらいの時間が過ぎるかなと思いました。

しかし、やはりここにも、【よく手をすすぎます】としか記載されていません。

国立医薬品食品衛生研究所の資料によると、手洗いとすすぎの効果をみたもので以下のようなものが示されています。

画像7

(引用文献:森功次他:感染症学雑誌、80:496-500,2006

この中では15秒のすすぎで残存ウイルス量が少なくなっています。
また、付属の情報のb)の部分の石鹸による微生物除去の仕組み(浮かせて流す)を考えると、石鹸が手に残らない程度に、洗いと同程度の時間のすすぎは必要ではないかと考えられます。

よって、自分の結論! 【15秒~20秒のすすぎの時間は必要 】

 泡立てだけでなく、すすぎもしっかりしましょう!

速乾式手指消毒液

CDCのページの中ではそれほど多くのことに触れられてはいません。

Use Hand Sanitizer When You Can’t Use Soap and Water(石鹸と水を使用できない場合は手の消毒剤を使用してください)

あくまでも、石鹸による洗浄を第一に考えています。

ここで触れられていること

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①60%以上のアルコールベースの消毒薬を使用する(60~95%)
②手の汚れや油脂がある場合には、アルコールベースの消毒薬はそれほど効果的ではない
③正しく使用すると多くの種類の微生物を非常に効果的に不活化できますが、人々は十分な量の消毒剤を使用しないか、乾燥する前に拭き取ってしまいます
④製品を片方の手のひらにとり(ラベルを読んで正しい量を確認)、手が乾くまで手の表面全体に塗ります。

この中で注目すべきは、【正しい量を手にとり】【手が乾くまで擦り込む】という部分ではないでしょうか。

では、正しい量とはどれくらいの量なのでしょうか?

液状とゲル状でその必要量も異なるようで、

液状だと3mL、ゲル状だと2mL程度の量が必要と言われています。
一部文献では、液状2mLと3mLで滅菌率に差がなかったという報告もありますが、3mL噴霧法が妥当と考えられます。

滅菌率で比較すると、1mLで36.8~65.6%、2mLで81.6~94.8%と1mLと2mLでは大きな差がついています

速乾性擦式消毒剤の消毒効果および日常的な使用法に関する検討,日本環境感染学会誌/24 巻 (2009) 5 号

アルコールゲル擦式手指消毒薬の殺菌効果の検討.環境感染 2004;19(1):241.

3mLを手のひらで受けるとこんな感じです。しっかり指を閉じてないとあふれるくらいです。

「実際に薬局にある速乾性消毒液のノズルをフルで押し切ったらどれくらいの液量が出ているのか」試してみました!

今薬局にある容器はこの3種類、液状のもの1つとゲル状のもの2つです。

少し見づらいですが、液状の噴霧をフルプッシュすると3mLの容量が出ました。

しっかり下まで押し込むのにはそれなりに時間がかかりますし、しっかり押し込むことで出てくる液量は結構ジャバジャバな感じです。垂れるくらいに噴霧しないと効果がないということですね。

 

 

 

 

次はゲルタイプの容器ですが、約2mLフルプッシュで出てきました。

文献の中の容量と大体同じ量です。もう一つのゲルタイプの容器も同様に2mL出てきました。

こちらは2mL出しても500円玉くらいで手からこぼれることなく擦り込むことができました。

 

 

 

 

参考までに、こちら環境消毒に使用している噴霧容器でもフル噴霧してみました。

だいたい1mL程度出てきました。思ったより少なかったです。

 

 

 

 

充分量の消毒薬が出てきたら、次は手指消毒の手順ですが、てぴかじぇるのサイトの手指衛生のタイミングと方法(健栄製薬)という画像が一番わかりやすく書かれていました。一度みてみてください。

結局は、石鹸で手洗いするように、手のひら、手の甲、指の間、爪の中、手首などに乾燥するまでよく擦り込むことが大切だと思います。

正しい使用方法で、100%の効果を発揮させましょう!

エタノール消毒液をつくってみたブログも掲載しています。興味があればみてみてください。

えたのーる消毒液をつくってみて

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