カルバマゼピン(テグレトール®)とスボレキサント(ベルソムラ®)の相互作用
Twitterの考察として書いているので、やや文章構成が乱雑になることお許しください。
今回の処方
80代女性
Rp1 テグレトール(100)2T/2×
Rp2 ベルソムラ(20)1T/1×vds
スボレキサントの添付文書
カルバマゼピンとスボレキサントの併用は
「併用注意」になっています。
併用注意の扱いは難しく、どれくらいの影響を与えるかも添付文書には書かれていません。
この場合、
という感じでした。
高齢ですが、初回投与量20mgと通常量となっているため、カルバマゼピンの酵素誘導を医師が知っているのかな?ともとれます。
スボレキサントのインタビューフォーム
インタビューフォームをみると、リファンピシンと併用した場合のデータのみ掲載されています。
スボレキサントのAUCは88%減少とかなり影響を受けていることがわかります。
スボレキサントとカルバマゼピンの併用例は?
両剤の併用は、Pubmed検索してもヒットしてきませんでした。
その後メーカーさんに問い合わせをしましたが、リファンピシンのみしか試験を行っていないということでした。
CYPの誘導による薬物動態変化の程度を予測する
医療薬学会が編集している
「医療現場における相互作用へのかかわり方ガイド」
の内容を参考にしてみました。
この2つの資料から考察します。
計算例を参考にしながら、リファンピシンを例にとり、まずは基質薬スボレキサントのCRを80%として基質薬のAUC残存率を計算してみると、14%となる。
式)1 / 1+0.8×7.7=0.14
つまり、86%AUC減少となり、報告内容と近似する。
すなわち、基質薬スボレキサントのCRは80%前後と推定される。
次に、カルバマゼピンのICは、「3」となっているため、
式)1 / 1+0.8×3 =0.29
となり、71%AUC減少と推定される。
すなわち、カルバマゼピンとの併用により、スボレキサントのAUCは71%減少する可能性があると推測される。
あくまでも推定でしかないため、どれだけ臨床的に影響が出るかは不明ですが、相互作用についての情報は医師に情報提供しておく必要があるレベルではないでしょうか。