夜間頻尿が心配な糖尿病治療薬。SGLT2阻害薬は夜服用でも問題ないのか?

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もともと糖尿病患者さんでは、尿の中の糖による浸透圧利尿が働いて夜間頻尿を起こしやすいと言われています。

通常、朝食後に処方されることが多いSGLT2(sodium-glucose co-transporter2)阻害薬ですが、今回夕食後に処方され気になったので調べてみています。

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ダパグリフロジン(フォシーガ®)5mg 1T/×夕食後

夜間頻尿は大丈夫だろうか?
TOMO@北の薬屋®
TOMO@北の薬屋®

30代 男性働き盛りということもあり、昼間仕事中の頻尿を避けて夕食後の服用ということも考えられなくはないですが、夜間頻尿が気になりました。

作用機序に由来する頻尿はSGLT2阻害薬の一般的な副作用であり、実際の日常業務の中でもSGLT2阻害薬服用開始後、頻尿により中止する例も少なからず見受けられます。

SGLT2阻害薬と頻尿に関連した文献から考える

文献の検索結果から3点についてみていきたいと思います

1. 夜間頻尿とトホグリフロジンに関するもの
2.トホグリフロジン投与前後の尿量変化など
3. トホグリフロジンの安全性と有効性に関する資料から

1. 夜間頻尿とトホグリフロジンに関するもの

他のSGLT2阻害薬が夜間頻尿のため継続できず、トホグリフロジンに変更し、夜間頻尿改善、HbA1c低下、体重も減少したインスリン併用の1例(原著論文/症例報告)
Author:生井 一之(さいたま赤十字病院 糖尿病内分泌内科)
Source:Life Style Medicine(1881-5421)9巻3号 Page138-140(2015.12)

これ医中誌ではみれるようなんですが、アブストラクトさえ見れない形になっています。
なんだか半減期が短いトホグリフロジンを使うと夜間頻尿が抑えられそう?なタイトルになっていますが、残念ながら詳細は不明のままです。

2.トホグリフロジン投与前後の尿量変化など

SGLT2阻害薬の各添付文書・インタビューフォームに頻尿の副作用記載はあるものの、1日につきどれくらいの尿量が増えるのか、時間ごとにどれくらいの尿量が増えてどれくらいその効果(影響)は続くのかははっきりしない点があります。

トホグリフロジン投与前後の血糖値と尿量変化について検討した文献があったので、そちらを参考にしてみます。

大工原裕之,SGLT2阻害薬投与前後の血糖ならびに尿量変化について.診療と新薬,54(1):25-28,2017

<対象>
2型糖尿病患者 36名

<方法>
トホグリフロジン投与前後で血糖、尿量、排尿回数の変化を検討

トホグリフロジン20mgを朝食前または朝食後に10日間投与
投与前後の3日間の平均値を算出

尿量の変化

1日あたりの排尿回数は増え、400~500mLほど尿量も増えています。

時間帯別の尿量の変化

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時間帯別にみると、どの時間帯においても増加しているものの、21時~5時の時間帯の尿量変化量が最も低くなっています。

これはトホグリフロジンの半減期が短いことによると考察されていますが、はっきりしたことはわかってはいません。

SGLT2阻害薬の半減期

成分名
製品名
T1/2(h)
トホグリフロジン
アプルウェイ、デベルザ
5.4
エンパグリフロジン
ジャディアンス
10.2
ルセオグリフロジン
ルセフィ
11.2
カナグリフロジン
カナグル
13.1
ダパグリフロジン
フォシーガ
13.8
イプラグリフロジン
スーグラ
14.97

3. トホグリフロジンの安全性と有効性に関する資料から

Utsunomiya K, Senda M, Kakiuchi S, Kameda H, Tamura M, Kurihara Y, Gunji R, Fujii S, Fujiwara H, Kaku K. Safety and efficacy of tofogliflozin in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus in real-world clinical practice: Results of 3-month interim analysis of a long-term post-marketing surveillance study (J-STEP/LT). J Diabetes Investig. 2019 Sep;10(5):1272-1283. doi: 10.1111/jdi.13017. Epub 2019 Mar 6. PMID: 30702214; PMCID: PMC6717810.

この資料の中で、多尿症/頻尿の発生率は、65歳未満の患者よりも65歳以上の患者で高かったと記載されています。若年者よりもやはり高齢者の方が注意は必要ですね。

さいごに

ここまでみてくると、もし昼間の頻尿が気になって夜にSGLT2阻害薬を処方するのであれば、半減期の長いフォシーガ(ダパグリフロジン)よりも、トホグリフロジン(アプルウェイ、デベルザ)の方が優れているのかなとも思いましたが、はっきりとわかっていないところも多くありそうです。

今後この患者さんの経過もみていき、必要があればトレーシングレポートなどで対応していきたいと思っています。

さいごまでお読み頂きありがとうございました。

他にも記事書いているので、お時間あればみてみてください。

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